高齢者の発熱で疑うべき「うつ熱」とは

うつ熱という用語をこれまで耳にしたことはあるでしょうか。うつ熱は、体温調節機能が低下した高齢者に起こりやすいとされており、身体からうまく熱を逃がすことができない状態のことを言います。

もし要介護者の体温が37度を超えていた場合、介護士は感染症を原因とする発熱だけではなく、身体から上手く放熱できていないうつ熱も疑わなければなりません。この医療知識は、介護士も身につけておくことが推奨されています。

ではインフルエンザによる発熱と熱中症によるうつ熱では、どのような違いがあるのでしょうか。まずインフルエンザでは、手足の温度が発熱時は冷たい一方で解熱時は温かくなるという傾向がある。これに対しうつ熱は、身体の放熱に不具合が生じるため、発熱時から手足の温度が普段よりも温かくなるのが特徴です。そのため、介護士は要介護者の手足に触れて、感染症なのかそれともうつ熱なのかを冷静に見極めなければなりません。

またインフルエンザは、発熱時から解熱時に向けて発汗量が徐々に増えていくのに対し、うつ熱では発熱時から発汗量が増える傾向があります。それを踏まえ、体温計で測定された数値だけではなく、要介護者の発汗量も見ながら対処していきましょう。

要介護者が発熱しており、かつ手足の温度や発汗量からうつ熱の症状が見受けられたら、冷却剤を使って脇下や足のつけ根を重点的に冷やすことが適切です。医師の診断を受けるまでは、大きな血管のある部位を冷やして症状を悪化させないようにすることが重要になるからです。